MEMSとは?超小型センサーやデバイスを作る技術をわかりやすく解説

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スマートフォンを横にすると、画面が自動で回転する。歩いた距離や歩数が記録される。イヤホンで自分の声を相手に届けられる。

こうした機能を支える小さなデバイスの一つが、**MEMS(メムス)**です。

MEMSの中には、目では見えないほど小さな「おもり」や「ばね」「薄い膜」などが作られています。そのわずかな動きを利用して、端末の動きや周囲の音を捉えます。

この記事では、MEMSとは何か、どのように動くのか、何に使われているのかを、スマートフォンのセンサーを例にわかりやすく解説します。

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MEMSとは?

MEMSは「Micro Electro Mechanical Systems」の略で、日本語では微小電気機械システムと呼ばれます。微小な機械構造を持ち、電気信号と物理的な動きを結びつけるデバイスの総称です。www.aist.go.jp

「小さな機械と電気を組み合わせたもの」と考えると、イメージしやすいでしょう。

たとえばMEMSセンサーは、物体が動いたり、音が届いたりしたときに起こる微小な変化を電気信号に変えます。反対に、電気信号を使って小さな構造を動かすMEMSデバイスもあります。

MEMSは特定の一種類のセンサーを指す名前ではありません。加速度センサー、ジャイロセンサー、マイクロフォンなど、さまざまなデバイスに使われています。

「マイクロ」とはどのくらい小さい?

MEMSの構造を説明するときには、**マイクロメートル(µm)**という単位がよく登場します。

1 µmは、1 mmの1000分の1です。このような微小なスケールで、ばねや膜、電極などの構造を作ります。ただし、MEMS製品全体の大きさや内部構造の寸法は、種類によって異なります。

MEMSセンサーはどうやって動きを測る?

MEMSの仕組みを理解するには、スマートフォンなどに使われる加速度センサーがわかりやすい例です。

加速度センサーは、端末が動いたときの加速度を測るデバイスです。内部には、微小なばねで支えられた「おもり」に相当する部分があります。

端末が動くと、そのおもりは周囲の構造に対してわずかに位置を変えます。センサーは、その変化を電気的に読み取ります。

端末が動く → 内部のおもりが変位する → 電気的な変化を読み取る

これが、MEMS加速度センサーの基本的な考え方です。www.aist.go.jp

小さな動きを電気信号に変える方法

加速度センサーで使われる方法の一つに、静電容量の変化を測る方法があります。

静電容量は、向かい合う電極の位置関係によって変わります。おもりが動くと電極同士の位置関係も変化するため、その変化から動きを読み取れます。

加速度センサー以外のMEMSでは、測定する対象に合わせて構造や検出方法が変わります。大切なのは、微小な構造に起きた変化を、利用できる電気信号へ変換しているという点です。

MEMSは何に使われている?

MEMSは、スマートフォン、自動車、プリンターなど、身近な製品の中で働いています。代表的な例を見てみましょう。www.aist.go.jp

デバイス主な働き身近な活用例
加速度センサー加速度を測るスマートフォンの動きの検出、自動車
ジャイロセンサー回転の速さを測るゲーム機、ドローン、姿勢の検出
MEMSマイクロフォン音を電気信号に変えるスマートフォン、イヤホン
圧力センサー圧力の変化を測る自動車、各種計測機器
インクジェットヘッド微小なインクを吐き出すプリンター

スマートフォンやイヤホン

スマートフォンには、動きを捉える加速度センサーやジャイロセンサー、音を捉えるMEMSマイクロフォンなどが使われています。

画面の向きを切り替えたり、端末の動きに応じて操作したりできるのは、センサーから得た情報を機器が利用しているためです。

自動車やドローン

自動車では、動きや圧力などを測る用途でMEMSセンサーが使われています。また、ドローンのように姿勢の把握が重要な機器でも、加速度センサーやジャイロセンサーが役立ちます。

小さなセンサーから得られる情報が、機器の状態を知る手がかりになります。

MEMSと半導体の違いは?

MEMSは半導体の製造技術と深い関係があります。そのため「MEMSは半導体と同じもの?」と疑問に思うかもしれません。

比較するときは、一般的な**半導体集積回路(IC)**とMEMSデバイスの「主な働き」に注目するとわかりやすくなります。

主な働き例
半導体集積回路(IC)電気信号を処理・記憶するプロセッサー、メモリー
MEMSデバイス微小な機械構造を使って、動き・音・圧力などと電気信号を結びつける加速度センサー、マイクロフォン

ICが情報を処理する「頭脳」だとすると、MEMSセンサーは周囲の変化を捉える「感覚器」のような存在です。

ただし、両者は切り離された技術ではありません。実際の製品では、MEMSの微小な構造と、その信号を読み取る回路を組み合わせて使います。www.aist.go.jp

MEMSはどうやって作る?

MEMSは、半導体製造でも使われる微細加工技術を活用して作られます。

代表的な工程は、次のとおりです。www.aist.go.jp

  1. 薄膜形成: 材料の表面に薄い層を作る
  2. フォトリソグラフィ: 光を使って加工する形を決める
  3. エッチング: 不要な部分を取り除く
  4. 工程を繰り返す: 必要な立体構造を作る

MEMSの製造で特徴的なのは、微小な構造が変形したり動いたりできるように作ることです。加速度センサーなら、内部のおもりやばねが働ける構造が必要になります。

なお、微細加工は小さな構造を作るための技術、MEMSはその技術などを使って作られるデバイスです。この二つを区別すると、関係が理解しやすくなります。

微細加工そのものについては、rinrinworksの「微細加工とは?」の記事でも詳しく解説しています。

MEMSのメリットと課題

MEMSのメリットは、動きや音などを扱う機能を、小さなデバイスに収められることです。限られたスペースにセンサーを搭載したいスマートフォンやウェアラブル機器などに適しています。

また、微細加工を利用して、同じ設計の構造をウェハ上に複数作れることも特徴です。

一方、微小な構造だからこその課題もあります。狙った形に精密に加工することに加え、壊れやすい部分を保護し、微弱な信号を安定して読み取らなければなりません。必要な精度や使用環境に合わせた設計が重要です。

MEMSに関するよくある質問

MEMSとセンサーは同じ意味?

同じ意味ではありません。センサーは何かを検知する装置であり、MEMSは微小な機械構造を利用するデバイスの総称です。

MEMSを使ったセンサーは多くありますが、すべてのセンサーがMEMSというわけではありません。また、MEMSにはセンサー以外の用途もあります。

MEMSの中では本当に部品が動いている?

MEMSでは、微小な構造が動いたり、振動したり、変形したりします。ただし、肉眼で動きが見えるとは限りません。ごくわずかな変化を検出して利用しています。

MEMSを学ぶには何から始めればいい?

最初は、身近な加速度センサーを例に、次の3点を考えると理解しやすくなります。

  • 何を測りたいのか
  • 内部のどの構造が変化するのか
  • その変化をどう電気信号として読み取るのか

この流れがわかると、マイクロフォンや圧力センサーなど、ほかのMEMSデバイスにも興味を広げやすくなります。

まとめ

MEMSは、微小な機械構造と電気的な働きを組み合わせたデバイスです。加速度センサー、ジャイロセンサー、マイクロフォンなどとして、身近な製品の中で使われています。

スマートフォンの中にも、動く小さなおもりや振動する薄い膜がある。その変化を電気信号に変えて利用するのが、MEMSの面白さです。

参考資料

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