大学の実験で初めてオシロスコープを使うと、
「ボタンやつまみが多くて何を触ればいいのかわからない」
「波形は表示されたけど、どう読めばいいの?」
「VOLTS/DIVやTIME/DIVって何?」
と戸惑う人も多いと思います。
しかし、オシロスコープの基本操作はそれほど難しくありません。
最初は、
- 縦軸=電圧
- 横軸=時間
- VOLTS/DIVで縦方向を調整
- TIME/DIVで横方向を調整
- TRIGGERで波形を安定させる
この5つを覚えれば十分です。
この記事では、大学実験や電子工作で初めてオシロスコープを使う人に向けて、波形の見方から基本的な測定手順まで順番に解説します。
オシロスコープとは?
オシロスコープとは、電圧が時間とともにどのように変化しているかを波形として表示する測定器です。
基本的に画面の、
- 縦軸:電圧
- 横軸:時間
を表しています。
たとえば一定の直流電圧を測定すると、画面には横一直線の波形が表示されます。
一方、交流信号を測定すると、正弦波や方形波など時間とともに変化する波形が表示されます。
テスターでも電圧を測ることはできますが、テスターが主に電圧を「数値」として表示するのに対して、オシロスコープでは電圧の時間変化を波形として確認できるのが大きな特徴です。
そのため大学実験では、
- 電圧
- 振幅
- 周期
- 周波数
- 位相差
- ノイズ
- パルス波形
- デジタル信号
などを確認するために使われます。
まず覚えたいオシロスコープの5つの基本

オシロスコープには多くの機能がありますが、最初からすべて覚える必要はありません。
まずは次の5つを理解しましょう。
| 項目 | 意味 |
|---|---|
| VOLTS/DIV | 縦1目盛りあたりの電圧 |
| TIME/DIV | 横1目盛りあたりの時間 |
| CH1・CH2 | 信号を入力するチャンネル |
| POSITION | 波形の表示位置 |
| TRIGGER | 波形を安定して表示する機能 |
特に重要なのが、
VOLTS/DIV・TIME/DIV・TRIGGER
の3つです。
この3つを操作できれば、基本的な正弦波や方形波は問題なく観測できます。
オシロスコープの画面の見方

まずは画面の縦軸と横軸を理解しましょう。
縦軸は電圧
画面の縦方向は電圧を表します。
1目盛りあたりの電圧を決めるのが、
VOLTS/DIV
です。
DIVは「division」の略で、画面上の1区画を意味します。
たとえば、
VOLTS/DIV = 500mV/div
なら、縦方向の1目盛りは500mVです。
波形の高さが4目盛りなら、
500mV × 4 = 2000mV
つまり、
2V
の電圧差があることになります。
電圧・振幅・Vppの詳しい読み方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:オシロスコープで電圧・振幅を測定する方法|VOLTS/DIVの読み方を解説
横軸は時間
画面の横方向は時間を表します。
1目盛りあたりの時間を決めるのが、
TIME/DIV
です。
たとえば、
TIME/DIV = 1ms/div
なら、横方向の1目盛りが1msです。
波形の1周期が4目盛りの場合、
T = 1ms × 4
なので、
周期T = 4ms
となります。
周期がわかれば、
f = 1/T
を使って周波数も求められます。
周波数の求め方については、こちらで計算例も含めて解説しています。
関連記事:オシロスコープで周波数を測定する方法|周期から計算する手順を解説
オシロスコープの基本的な使い方
ここからは、実際に波形を表示するまでの基本的な流れを見ていきます。
大学実験では、次の順番で操作するとわかりやすいです。
1.オシロスコープの電源を入れる
まずオシロスコープの電源を入れます。
機種によって起動画面は異なりますが、起動すると波形を表示するためのグリッドが画面に表示されます。
2.プローブをCH1に接続する
次にプローブをオシロスコープへ接続します。
初めて使う場合は、
CH1
に接続すればOKです。
多くのオシロスコープには、
- CH1
- CH2
- CH3
- CH4
など複数の入力があります。
複数の信号を同時に比較するときには2チャンネル以上を使用しますが、基本操作を覚える段階ではCH1だけで十分です。
3.プローブ倍率を確認する
オシロスコープのプローブには、
- ×1
- ×10
などの倍率があります。
大学実験では×10プローブを使用することも多いです。
ここで重要なのが、プローブ側とオシロスコープ側の倍率を一致させることです。
たとえばプローブが×10なのに、本体側が×1になっていると、表示される電圧が正しくありません。
測定を始める前に必ず確認しておきましょう。
また、方形波などを正しく観測するためにはプローブ補正も重要です。
関連記事:オシロスコープのプローブ補正とは?なぜ方形波で調整するのか
4.プローブを測定回路へ接続する

プローブには、
プローブ先端
と
GNDクリップ
があります。
基本的には、
プローブ先端 → 測定したい信号点
GNDクリップ → 回路のGND
に接続します。
ただし、GNDクリップの接続先には注意が必要です。
一般的な据え置き型オシロスコープでは、プローブのGNDが保護接地につながっている場合があります。
そのため、回路上の適当な場所へGNDクリップを接続すると、ショートや機器の故障につながる可能性があります。
大学実験では、実験書や指導者の指示に従って接続してください。
5.CH1をONにする
プローブを接続したら、CH1の波形表示をONにします。
機種によっては、
「CH1」
「1」
などのボタンがあります。
CH1を有効にすると、対応する波形が画面に表示されます。
6.VOLTS/DIVを調整する

次に波形の縦方向の大きさを調整します。
波形が小さすぎる場合は、
VOLTS/DIVを小さく
します。
逆に、波形が画面からはみ出している場合は、
VOLTS/DIVを大きく
します。
たとえば、
1V/div → 500mV/div
に変更すると、同じ信号でも画面上では縦方向に大きく表示されます。
測定値を読み取る場合は、波形が画面からはみ出さない範囲で、できるだけ大きく表示すると読みやすくなります。
7.TIME/DIVを調整する
次に横方向を調整します。
波形が横方向に詰まりすぎている場合は、
TIME/DIVを小さく
します。
反対に、波形が広がりすぎて1周期が画面内に収まらない場合は、
TIME/DIVを大きく
します。
周期的な信号を見る場合は、画面に1〜3周期程度表示すると波形を確認しやすくなります。
8.TRIGGERを調整する
波形が左右に流れてしまう場合は、トリガを調整します。
トリガとは簡単にいうと、
波形を一定の位置で表示するための機能
です。
周期的な信号でも、毎回違う位置から画面表示が始まると、波形が左右に流れて見えてしまいます。
そこで、
「この電圧を通過したタイミングから表示する」
という基準を決めるのがトリガです。
波形が流れる場合は、
- Trigger Source
- Trigger Level
- Trigger Edge
を確認します。
CH1で測定しているなら、まず
Trigger Source = CH1
にします。
トリガレベルは、波形の中央付近にすると安定しやすいです。
トリガの仕組みや波形が流れる原因については、別記事で詳しく説明しています。
関連記事:オシロスコープのトリガとは?波形が流れる原因と対処法
オシロスコープで電圧を測る方法
オシロスコープでは、
縦方向の目盛り数 × VOLTS/DIV
で電圧差を求められます。
たとえば、
VOLTS/DIV = 0.5V/div
で、波形の最大値から最小値までが4目盛りなら、
Vpp = 4 × 0.5
なので、
Vpp = 2V
です。
オシロスコープでは、
- 最大値
- 最小値
- ピーク値
- ピークツーピーク値(Vpp)
- 実効値(RMS)
など、いくつかの電圧表現が使われます。
大学実験では「振幅」が何を指しているのかによって答えが変わることがあるため注意が必要です。
電圧の読み方を詳しく確認したい場合はこちらを参考にしてください。
関連記事:オシロスコープで電圧・振幅を測定する方法|VOLTS/DIVの読み方を解説
オシロスコープで周期・周波数を測る方法
周波数を求める場合は、まず波形の1周期を読み取ります。
たとえば、
TIME/DIV = 0.5ms/div
で、波形の1周期が4目盛りなら、
T = 4 × 0.5ms
なので、
T = 2ms
です。
周波数は、
f = 1/T
から求められます。
2msを秒に直すと、
T = 0.002s
なので、
f = 1 / 0.002
となり、
f = 500Hz
です。
大学実験では、デジタルオシロスコープの自動測定機能だけでなく、TIME/DIVから自分で計算できるようにしておくと安心です。
関連記事:オシロスコープで周波数を測定する方法|周期から計算する手順を解説
AC結合とDC結合はどちらを使う?
オシロスコープでは入力設定として、
AC結合
と
DC結合
を選択できます。
初心者は、まずDC結合で測定するとわかりやすいです。
DC結合では、入力信号に含まれる直流成分と交流成分の両方が表示されます。
一方、AC結合では直流成分をカットして、変化している交流成分だけを表示します。
そのため、
- 信号全体を見たい → DC結合
- 直流成分の上にある小さなノイズを見たい → AC結合
という使い分けが基本です。
AC結合のまま直流電圧を測定すると、本来の電圧レベルがわからなくなるので注意しましょう。
関連記事:オシロスコープのAC結合とDC結合の違いをわかりやすく解説
波形が表示されないときの確認ポイント
オシロスコープを使っていると、
「何も表示されない」
「波形がおかしい」
ということがあります。
その場合は、次の順番で確認してみましょう。
CH1がONになっているか
信号を入力していても、チャンネル表示がOFFになっていると波形は表示されません。
VOLTS/DIVが大きすぎないか
小さな信号を大きなVOLTS/DIVで表示すると、ほとんど水平線に見えることがあります。
VOLTS/DIVを小さくしてみましょう。
波形が画面外に移動していないか
Vertical Positionを動かしていると、波形が画面の外に移動している可能性があります。
位置を中央付近へ戻してみます。
TIME/DIVが適切か
時間軸が合っていないと、波形が密集して線のように見えたり、逆に一部分しか見えなかったりします。
TIME/DIVを変更してみましょう。
トリガ設定が合っているか
波形が流れたり不安定だったりする場合はトリガを確認します。
迷った場合は、まずAuto Triggerを使うと波形を表示しやすくなります。
プローブ倍率が一致しているか
プローブが×10、本体側が×1など、倍率設定が異なっていないか確認しましょう。
プローブ補正が合っているか
方形波の角が丸かったり、飛び出したりしている場合は、プローブ補正が原因の可能性があります。
関連記事:オシロスコープのプローブ補正とは?なぜ方形波で調整するのか
波形が左右に流れるときはトリガを確認する

「波形は表示されているけど、ずっと横に流れていて読めない」
という場合は、トリガがうまくかかっていない可能性が高いです。
まず、
- Trigger SourceをCH1にする
- Trigger Levelを波形の中央付近にする
- Edgeを立ち上がりにする
という3点を確認してみましょう。
それでも安定しない場合は、TIME/DIVや信号そのものが周期的かどうかも確認します。
関連記事:オシロスコープのトリガとは?波形が流れる原因と対処法
正しく測定するには入力インピーダンスも重要
オシロスコープは、回路につなげば必ず正しい電圧が測れるわけではありません。
測定器を接続すること自体が、測定対象の回路へ影響を与えることがあります。
そこで重要になるのが、
入力インピーダンス
です。
オシロスコープでは、
- 1MΩ
- 50Ω
などの入力インピーダンスが使われます。
一般的な回路測定では1MΩ入力を使う場面が多く、50Ω入力は高周波測定などで使用されます。
50Ω入力を理由なく使用すると、測定対象に大きな負荷を与えることがあります。
詳しくは、
「オシロスコープの入力インピーダンスとは?1MΩ・50Ωの違い」
の記事で解説しています。
【内部リンク:オシロスコープの入力インピーダンスとは?1MΩ・50Ωの違い】
オシロスコープの帯域幅にも注意
より高い周波数の信号を測る場合は、
オシロスコープの帯域幅
にも注意が必要です。
たとえば「100MHzのオシロスコープだから100MHzまで完全に正確に測れる」という単純な話ではありません。
周波数が帯域幅に近づくほど、表示される振幅には影響が出ます。
大学実験で低周波の正弦波を見る程度なら強く意識しないこともありますが、高速なデジタル信号や方形波を測定する場合には重要です。
関連記事:オシロスコープの帯域幅とは?測定できる周波数との関係をわかりやすく解説
デジタルオシロスコープではサンプリングレートも重要
デジタルオシロスコープでは、入力信号を一定時間ごとに読み取って波形を作ります。
このとき、
1秒間に何回信号を取得するか
を表すのがサンプリングレートです。
サンプリングレートが不足すると、実際とは違う波形が表示されることがあります。
特に高い周波数の信号を測る場合は、帯域幅だけでなくサンプリングレートも確認する必要があります。
関連記事:オシロスコープのサンプリングレートとは?波形が正しく表示される条件を解説
オシロスコープを使うときの注意点
最後に、安全に測定するための注意点を確認しておきましょう。
最大入力電圧を超えない
オシロスコープ本体やプローブには最大入力電圧があります。
仕様を超える電圧を入力すると、測定器の故障や事故につながる可能性があります。
GNDクリップを適当な場所につながない

一般的な据え置き型オシロスコープでは、プローブGNDが保護接地につながっている場合があります。
接続先を間違えると回路を短絡させる可能性があります。
家庭用コンセントを安易に直接測定しない
家庭用AC100Vなどの商用電源を、通常のプローブで安易に測定するのは危険です。
感電だけでなく、オシロスコープや回路を破損する可能性があります。
大学実験などでは、必ず実験書や指導者の指示に従ってください。
プローブ倍率を確認する
プローブ側と本体側の倍率が違うと、電圧を大きく読み間違える原因になります。
測定前に必ず確認しましょう。
オシロスコープ初心者が覚える順番
初めてオシロスコープを使う場合は、次の順番で覚えると理解しやすいです。
- 縦軸=電圧、横軸=時間を理解する
- VOLTS/DIVを操作する
- TIME/DIVを操作する
- トリガを使って波形を止める
- 電圧・振幅を読み取る
- 周期・周波数を求める
- AC/DC結合を使い分ける
- プローブ補正を理解する
- 入力インピーダンス・帯域幅を理解する
最初から細かい機能をすべて覚えようとする必要はありません。
大学実験であれば、まず、
VOLTS/DIV・TIME/DIV・TRIGGER
の3つを使えるようにすることをおすすめします。
オシロスコープの使い方に関するよくある質問
オシロスコープは何を測るものですか?
主に電圧の時間変化を測定する測定器です。
電圧を波形として表示できるため、振幅、周期、周波数、ノイズ、パルスなどを確認できます。
オシロスコープの縦軸と横軸は何ですか?
基本的に、縦軸が電圧、横軸が時間です。
VOLTS/DIVとは何ですか?
画面の縦1目盛りが何Vに相当するかを表します。
たとえば1V/divなら、縦1目盛りが1Vです。
TIME/DIVとは何ですか?
画面の横1目盛りがどれだけの時間に相当するかを表します。
たとえば1ms/divなら、横1目盛りが1msです。
波形が流れるときはどうすればいいですか?
まずトリガ設定を確認します。
Trigger Sourceを測定しているチャンネルに合わせ、Trigger Levelを波形の中央付近に設定すると安定しやすくなります。
オシロスコープで周波数は測れますか?
測定できます。
1周期の時間Tを読み取り、
f = 1/T
から周波数を求められます。
デジタルオシロスコープでは、自動測定機能で周波数を表示できる機種もあります。
初心者はAC結合とDC結合のどちらを使えばいいですか?
まずDC結合で信号全体を確認するのがおすすめです。
直流成分を取り除いて小さな交流成分だけを見たい場合にAC結合を使います。
まとめ
オシロスコープは機能が多いため、初めて見ると難しく感じます。
しかし、基本となる操作はそれほど多くありません。
まず覚えたいのは、
- 縦軸=電圧
- 横軸=時間
- VOLTS/DIVで縦方向を調整
- TIME/DIVで横方向を調整
- TRIGGERで波形を安定させる
という5つです。
基本的な測定では、
プローブを接続する
→ VOLTS/DIVを調整する
→ TIME/DIVを調整する
→ トリガを調整する
→ 電圧や周期を読み取る
という順番で操作すれば迷いにくくなります。
大学実験では、オシロスコープで表示された数値を見るだけでなく、
「なぜその波形になるのか」「設定を変えるとなぜ表示が変わるのか」
まで理解できるようになると、実験レポートの考察にもつなげやすくなります。
まずはVOLTS/DIV・TIME/DIV・TRIGGERの3つを意識しながら、実際の波形を操作してみてください。

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