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オシロスコープに、入力したはずのない低い周波数の波形が表示される。時間軸を変えると周波数まで変わる――その原因は、エイリアシングかもしれません。
エイリアシングとは、サンプリングレートが不足し、高周波信号が実際より低い周波数の「偽の波形」として記録される現象です。日本語では「折り返し」と呼ばれ、ノイズとして現れる場合は「折り返し雑音」ともいいます。
たとえば、900 kHzの正弦波を1 MSa/sで取り込むと、画面上では100 kHzの波形に見えることがあります。波形が乱れるだけでなく、もっともらしい別の波形が現れる点がエイリアシングの怖さです。
先に結論
波形が怪しいときは、①
TIME/DIVを小さくする、②画面上の実サンプリングレートを確認する、③必要ならレコード長を増やす、の順で確認します。設定変更で表示周波数や波形が大きく変われば、最初の波形はエイリアスだった可能性があります。
この記事では、エイリアシングの仕組みを数式と具体例で説明し、実機での見分け方まで解説します。
- エイリアシングが起こる仕組み
- 高周波が低周波に見える理由
- オシロスコープ上での見分け方
- サンプリングレートやメモリ長を使った対策
- 帯域幅・ナイキスト周波数との違い
- 信号発生器を使った再現実験
| 症状 | 最初に試すこと |
|---|---|
| 本来より遅い波形が表示される | TIME/DIVを小さくする |
| 時間軸を変えると周波数も変わる | 実サンプリングレートを確認する |
| 長時間表示すると波形がおかしくなる | レコード長を増やす |
| 細いパルスが見えない | Peak Detectを試す |
エイリアシングとは
エイリアシング(aliasing)とは、アナログ信号を一定間隔でサンプリングするとき、異なる周波数の信号を区別できなくなる現象です。
デジタルオシロスコープは、入力電圧を常に連続して記録しているわけではありません。ADC(A/D変換器)が一定時間ごとに電圧を測定し、その点を補間して画面に波形を描きます。
イメージは動画に映る車輪です。フレーム数が十分なら回転を正しく追えますが、撮影間隔が粗いと、車輪がゆっくり回ったり逆回転したりして見えます。オシロスコープでも同じように、測定点が少ないと高速な波形を低速な波形と取り違えます。
計測器メーカーのテクトロニクスも、エイリアシングはオシロスコープが正確な波形記録を作れる速度で信号をサンプリングしていないときに発生し、周波数を誤認すると説明しています(Tektronix:What is Aliasing?)。
オシロスコープで偽物の波形が見える仕組み
エイリアシングを理解するポイントは、オシロスコープが見ているのは「連続した線」ではなく「飛び飛びの測定点」だということです。
1. オシロスコープが信号を点で測る
サンプリングレートが1 MSa/sなら、1秒間に100万回測定します。測定間隔は次のとおりです。
測定間隔 = 1 ÷ サンプリングレート
= 1 ÷ 1,000,000
= 1 µs
オシロスコープは、この1 µsごとの電圧値を並べ、点と点の間を補間して波形を表示します。
2. 測定点が少ないと、別の波形でも同じ点を通る
サンプリング間隔が粗いと、実際の高速な波形だけでなく、それより遅い別の波形も同じ測定点を通れます。
オシロスコープが取得した点だけを見れば、どちらの波形が本物なのか判断できません。その結果、低い周波数の波形がもっともらしく表示されます。これが「偽物の波形」が生まれる理由です。
オシロスコープの表示計算が間違っているのではありません。取得した時点で情報が不足しているため、複数の候補を区別できないのです。
3. 900 kHzが100 kHzに見える具体例

入力信号を900 kHz、サンプリングレートを1 MSa/sとします。
サンプリングするたびに入力波形は0.9周期進みます。これは、測定点だけを見れば「毎回0.1周期ずつ逆方向に進む」のと区別できません。そのため、900 kHzではなく100 kHzのゆっくりした波形として再構成されます。
入力周波数
サンプリング周波数
見かけの周波数
一般には、エイリアス周波数を次式で求められます。
nは整数です。|f_in - n × f_s|が最小になるnを選ぶと、結果は0 Hzからf_s / 2の範囲に入ります。
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 入力周波数 | 900 kHz |
| サンプリング周波数 | 1,000 kHz |
| ナイキスト周波数 | 500 kHz |
| 画面に現れる周波数 | 100 kHz |
NIの技術資料でも、800 kHzの正弦波を1 MSa/sでサンプリングすると、200 kHzとして記録される例が示されています(NI:Bandwidth, Nyquist Sampling Theorem, and Aliasing)。
ナイキストの定理とサンプリング周波数の条件
エイリアシングを防ぐ基本条件が、ナイキストのサンプリング定理です。
- :サンプリング周波数
- :信号に含まれる最高周波数
- :ナイキスト周波数
つまり、100 kHzまでの成分を含む帯域制限信号を一意に再構成するには、理論上は200 kSa/sを超えるサンプリングレートが必要です。
ただし、信号周波数のちょうど2倍でサンプリングすれば、波形がきれいに見えるという意味ではありません。サンプル点が毎回ゼロクロスに重なれば、正弦波が0 Vの直線に見えることさえあります。ナイキスト条件は一意に再構成するための理論条件であり、少ない点数で振幅・位相・波形形状を高精度に測れる保証ではありません。
実用上は、正弦波でも観測したい最高周波数成分の5倍程度を一つの目安にすると設定しやすくなります。NIも、通常は信号周波数の約5倍でのサンプリングを案内しています。
| 目的 | サンプリングレートの目安 |
|---|---|
| エイリアシングを避ける理論上の最低条件 | 最高周波数の2倍超 |
| 正弦波の形を実用的に確認する | 最高周波数の約5倍以上 |
| パルスや方形波のエッジを詳しく見る | 高調波を含む最高周波数を基準に、さらに高く設定 |
ここで基準にするのは、表示された繰り返し周波数ではなく、測定したい最高周波数成分です。方形波には基本波だけでなく、3次・5次・7次などの高調波が含まれます。そのため「1 MHzの方形波だから2 MSa/sでよい」とは限りません。波形の角や立ち上がり時間まで再現したい場合は、観測したい高調波または立ち上がり時間から必要な帯域を決め、その帯域に対してサンプリングレートを確保します。
「2倍」と「5倍」は何が違う?

混乱しやすいので、役割を分けて考えましょう。
- 2倍超:帯域制限信号を一意に再構成するための理論上の条件
- 約5倍以上:正弦波の形や振幅を実用的に観測するための目安
- 方形波・パルス:基本周波数ではなく、高調波や立ち上がり時間を基準に判断
「最高周波数の2倍を超えたから十分」と即断せず、実際のサンプル点数と必要な測定精度も確認することが大切です。
オシロスコープでエイリアシングが発生しやすい場面
時間軸を広げて長時間を表示したとき
多くのオシロスコープでは、画面に表示する時間を長くすると実際のサンプリングレートが低下します。
レコード長をN、1回の取得時間をTとすると、実サンプリングレートはおおよそ次の関係になります。
サンプリングレート ≒ N ÷ T
たとえば、50,000点で50 µsを記録すれば1 GSa/sですが、同じ50,000点で50 msを記録すると1 MSa/sです。メモリ点数が同じまま取得時間だけを長くすれば、測定間隔は1,000倍粗くなります。そのため、時間軸を遅くした瞬間に波形がゆっくり動いたり、別の周波数に変わったりします。この関係はKeysightのオシロスコープ取扱説明書にも具体例付きで示されています。
複数チャンネルを同時に使用したとき
機種によっては、複数チャンネルでADCやメモリを共有しています。チャンネル数を増やすと、1チャンネルあたりの最大サンプリングレートが1/2などに下がる場合があります。
カタログの「最大1 GSa/s」が、すべての設定で維持されるとは限りません。測定中に画面へ表示される現在のサンプリングレートと、使用機種のマニュアルを確認してください。
高速な方形波や短いパルスを測定したとき
パルス幅がサンプリング間隔より短いと、パルスそのものを取り逃すことがあります。また、基本周波数は低くても、急峻なエッジには高周波成分が含まれています。
この場合、周期だけでなく最小パルス幅や立ち上がり時間を基準に設定を決める必要があります。
メモリ長が短いとき
高いサンプリングレートで長時間を記録するには、多くの測定点を保存できるメモリが必要です。レコード長が短い機種では、長時間表示と高サンプリングレートを両立できない場合があります。
エイリアシングの見分け方
画面に表示された1枚の波形だけで、本物か偽物かを完全に判断するのは困難です。しかし、設定を意図的に変えて表示の再現性を見ると、エイリアシングを見抜きやすくなります。
最短で見抜く3ステップ
TIME/DIVを小さくして横方向に拡大する- 画面上の実サンプリングレートが上がったか確認する
- 設定変更の前後で周波数と波形形状を比較する
入力信号が同じなのに周波数表示が変わるなら、少なくとも一方は正しい測定ではありません。
1. 時間軸を短くする
TIME/DIVまたはSEC/DIVを小さくし、波形を横方向に拡大します。
時間軸を変えたときに、表示周波数や波形の形が大きく変化するなら要注意です。テクトロニクスも、水平スケールを変えるテストで波形形状が大きく変わる場合は、エイリアシングの可能性があると説明しています。
2. 現在のサンプリングレートを確認する
製品仕様の最大値ではなく、現在の測定条件における実サンプリングレートを確認します。
たとえば、入力に500 kHz以上の成分があるのに実サンプリングレートが1 MSa/sなら、ナイキスト条件ぎりぎりか、それを満たしていません。時間軸、レコード長、チャンネル数を変更し、サンプリングレートが上がるか確認します。
3. 波形の周波数が設定とともに変わるか確認する
入力信号が一定なのに、時間軸やメモリ長を変えるたびに自動測定の周波数が変わる場合は、エイリアシングが疑われます。
特に次の表示は典型例です。
- 本来より遅い波形が左右に流れる
- 高周波を入力しているのに低周波が表示される
- 正弦波が直線やDC電圧のように見える
- 設定を少し変えるだけで周波数表示が急変する
- 波形が安定しているのに、外部カウンタの値と一致しない
4. ピーク検出モードを試す
ピーク検出(Peak Detect)モードは、遅い時間軸でも区間内の最小値と最大値を保持し、細いパルスや高速変化を発見しやすくします。
通常のサンプルモードとピーク検出モードで表示が大きく変わる場合、サンプル点の間に高速成分が隠れていた可能性があります。ただし、ピーク検出だけですべてのエイリアシングを解消できるわけではありません。
5. 別の測定方法と比較する
可能であれば、外部の周波数カウンタ、スペクトラムアナライザ、より高いサンプリングレートのオシロスコープなどと比較します。信号発生器を使用しているなら、設定周波数とオシロスコープの測定値が一致するかも確認しましょう。
なお、オシロスコープ内蔵の自動周波数測定は、表示と同じ取得データから計算している場合があります。その場合、偽の波形を正しく数えてしまうことがあるため、独立した外部カウンタとの照合の方が確実です。
エイリアシングを防ぐ5つの対策
対策1:時間軸を短くしてサンプリングレートを上げる
もっとも手軽な対策です。画面に表示する時間を短くすると、同じレコード長でも単位時間あたりの測定点が増えます。
まずTIME/DIVを小さくし、数周期が画面に表示される程度まで拡大してください。そのうえで現在のサンプリングレートを確認します。
対策2:レコード長・メモリ長を増やす
長時間の波形を高いサンプリングレートで記録したい場合は、レコード長を増やします。
ただし、メモリ長を増やすと処理や画面更新が遅くなることがあります。高速な異常を探すときと、長時間の傾向を見るときで設定を使い分けるのが効果的です。
対策3:不要なチャンネルをオフにする
チャンネル間でサンプリング回路を共有する機種では、不要なチャンネルをオフにすると最大サンプリングレートが上がる場合があります。効果は機種ごとに異なるため、仕様書やマニュアルを確認してください。
対策4:アンチエイリアスフィルタを使う
ADCへ入る前に、ナイキスト周波数を超える成分をローパスフィルタで減衰させます。これがアンチエイリアスフィルタです。
サンプリング後にデジタル処理で高周波成分を消しても、すでに低周波へ折り返した成分を元に戻すことはできません。したがって、原則としてADCの前段で帯域を制限する必要があります。オシロスコープの帯域制限機能を使う場合も、それがアナログ入力段で働く機能か、取扱説明書で確認してください。
対策5:測定対象に合うオシロスコープを選ぶ
測定器を選ぶときは、帯域幅だけでなく次の項目を確認します。
- リアルタイムサンプリングレート
- チャンネル使用時のサンプリングレート
- 最大レコード長
- 波形更新レート
- ピーク検出などのアクイジションモード
- プローブを含む測定系全体の帯域幅
単発パルスや過渡現象は、複数周期から波形を組み立てる等価時間サンプリングでは測定できません。単発現象では、1回の取り込みで十分な点数を得られるリアルタイムサンプリング性能が重要です。
5分でできるエイリアシングの再現実験
信号発生器とデジタルオシロスコープがあれば、エイリアシングを実際に確認できます。
用意するもの
- 正弦波を出力できる信号発生器
- デジタルオシロスコープ
- BNCケーブルまたは適切なプローブ
手順
- 信号発生器を900 kHzの正弦波に設定する
- オシロスコープで数周期が見えるように時間軸を合わせる
- 画面上の実サンプリングレートを確認する
- 時間軸を広げ、実サンプリングレートが1 MSa/s付近まで下がる設定を探す
- 表示周波数が100 kHz付近に変化するか確認する
- 時間軸を再び短くし、900 kHzの表示へ戻るか確認する
入力振幅は、信号発生器とオシロスコープの終端条件(50 Ω/1 MΩ)を確認したうえで、機器の定格内に設定してください。機種によってサンプリングレートの制御方法が異なるため、1 MSa/sに固定できない場合は、入力周波数と実サンプリングレートの組み合わせを変えます。
この実験のポイントは、入力信号を変えていないのに、時間軸の設定だけで表示周波数が変わることです。偽の100 kHz波形が安定して見えても、それだけでは正しい測定の証拠になりません。
帯域幅とサンプリングレートは別物
エイリアシングを考えるとき、オシロスコープの「帯域幅」と「サンプリングレート」を混同しないことが重要です。
| 項目 | 意味 | 単位 | 不足すると起こること |
|---|---|---|---|
| 帯域幅 | アナログ入力回路が信号を通せる周波数範囲 | Hz | 振幅低下、エッジの鈍化、細部の消失 |
| サンプリングレート | ADCが1秒間に電圧を測る回数 | Sa/s | エイリアシング、時間分解能の不足 |
| レコード長 | 1回の取り込みで保存できる測定点数 | points | 長時間記録と高サンプリングの両立が困難 |
100 MHz帯域のオシロスコープでも、現在のサンプリングレートが10 MSa/sまで低下していれば、数十MHzの信号を正しくデジタル化できません。
反対に、サンプリングレートが十分高くても、アナログ帯域幅が足りなければ振幅や立ち上がりは正しく表示されません。帯域幅は「入力段がどこまで通せるか」、サンプリングレートは「どれだけ細かい時間間隔で点を取るか」です。正確な測定には両方が必要です。
詳しくは、オシロスコープの帯域幅とは?測定できる周波数との関係もあわせて確認してください。
よくある勘違い
「画面に安定して見えているから正しい」は間違い
エイリアス波形は、乱れたノイズではなく、安定した正弦波として表示される場合があります。見た目のきれいさは正しさの証明になりません。
「最大サンプリングレートが高いから大丈夫」とは限らない
時間軸、レコード長、チャンネル数、アクイジションモードによって実サンプリングレートは変化します。測定中の表示値を確認する必要があります。
「ナイキスト条件を満たせば形も完璧」ではない
ナイキスト条件は、帯域制限された信号を理論上区別できる最低条件です。少ない測定点で振幅、位相、立ち上がり時間、短いパルスまで高精度に測れることを保証するものではありません。
「平均化すれば直る」は間違い
平均化はランダムノイズの低減には有効ですが、失われた時間情報を復元する処理ではありません。誤った周波数として取り込まれた信号を平均化しても、本来の波形には戻りません。
「FFTなら本当の周波数がわかる」とは限らない
FFTは、ADCが取得した時間波形を周波数成分へ変換します。すでにサンプリング段階で900 kHzが100 kHzへ折り返していれば、FFTにも100 kHzのピークが現れます。
つまり、FFTは取得済みデータの分析には役立ちますが、サンプリング前に失われた情報までは復元できません。FFTを見る前に、実サンプリングレートとナイキスト周波数を確認してください。FFTの基本は、オシロスコープのFFT機能とは?周波数成分を見る方法で解説しています。
エイリアシングとトリガずれの違い
波形が流れる原因は、エイリアシングだけではありません。トリガ設定が合っていない場合も、波形は左右に動いて見えます。
| 比較項目 | エイリアシング | トリガずれ |
|---|---|---|
| 主な原因 | サンプリングレート不足 | トリガレベル・モード・ソースの不一致 |
| 周波数測定値 | 実際より低くなることがある | 正しい場合もある |
TIME/DIV変更時 | 周波数や形が大きく変わることがある | 主に表示の安定性が変わる |
| 実サンプリングレート | 不足している | 十分な場合もある |
| 主な対策 | 時間軸短縮、レコード長増加、帯域制限 | トリガレベル・ソース・モードの調整 |
判断に迷ったら、まず実サンプリングレートを確認します。レートが十分なのに波形だけが同期せず流れるなら、トリガ設定を疑います。逆に、設定変更で測定周波数そのものが変わるなら、エイリアシングの可能性が高いと考えられます。
迷ったときの確認手順

オシロスコープの波形がおかしいと感じたら、次の順番で確認してください。
- 入力信号に含まれる最高周波数成分を見積もる
- 画面上の実サンプリングレートを確認する
TIME/DIVを小さくして横方向に拡大する- レコード長を増やす
- 不要なチャンネルをオフにする
- 通常モードとPeak Detectを比較する
- トリガ設定を確認する
- 外部カウンタや別の測定器と照合する
- 必要ならADC前段にローパスフィルタを入れる
設定変更によって周波数や波形が大きく変わった場合、最初に見えていた波形を測定結果として採用しないようにしましょう。
まとめ:きれいな波形でもサンプリングレートを確認しよう
エイリアシングとは、サンプリングレートの不足によって、高周波信号が低周波の偽物として表示される現象です。
重要なポイントは次の5つです。
- デジタルオシロスコープは、連続波形ではなく離散的な測定点を記録する
- サンプリングレートは最高周波数の2倍超が理論上の最低条件
- 実用上は正弦波でも、観測したい最高周波数成分の約5倍を目安にする
- 時間軸を広げると実サンプリングレートが下がる場合がある
- 時間軸、レコード長、チャンネル数、フィルタを見直すと防止できる
オシロスコープに波形が表示された時点で、測定が成功したとは限りません。現在の実サンプリングレートを確認し、時間軸を変えても周波数と形が保たれるか確かめることが、偽物の波形を見抜くもっとも簡単な習慣です。
周波数の基本的な読み方を確認したい方は、オシロスコープで周波数を測定する方法も参考にしてください。
エイリアシングに関するよくある質問
エイリアシングと折り返し雑音は同じ意味ですか?
厳密には完全な同義語ではありません。エイリアシングは、異なる周波数を区別できなくなる現象全体です。そのうち、ナイキスト周波数を超えた不要成分やノイズが低周波側へ現れるものを「折り返し雑音」と呼びます。正弦波が別の正弦波に見える場合は、単に「折り返し」や「エイリアス」と表現する方が正確です。
エイリアシングが起きると波形はどう見えますか?
本来より低い周波数の波形、ゆっくり流れる波形、直線またはDCのように見えることがあります。必ずしも不規則に乱れるわけではなく、きれいで安定した偽波形になる場合もあります。
サンプリング周波数は信号周波数の何倍必要ですか?
理論上は、測定したい最高周波数成分の2倍を超える必要があります。ただし、実際に波形の形まで確認するなら、正弦波では約5倍以上が一つの目安です。方形波やパルスでは、基本周波数ではなく高調波や立ち上がり時間も考慮します。
オシロスコープの時間軸を変えると周波数が変わるのはなぜですか?
時間軸を広げたことで実サンプリングレートが低下し、エイリアシングが発生した可能性があります。現在のサンプリングレートを確認し、時間軸を短くするかレコード長を増やしてください。
エイリアシングは測定後のソフトウェア処理で直せますか?
原則として完全には直せません。サンプリング時に失われた情報から、本来の周波数を一意に決められないためです。サンプリングレートを上げるか、ADC前段にアンチエイリアスフィルタを入れて予防します。
オートセットを押せばエイリアシングは直りますか?
オートセットで時間軸やトリガが適切な範囲に変わり、結果としてエイリアシングが解消する場合はあります。ただし、常に十分なサンプリングレートになる保証はありません。オートセット後も、画面に表示される実サンプリングレートと、時間軸を変えたときの波形の再現性を確認してください。
サンプルレートとサンプリング周波数は同じですか?
実務ではほぼ同じ意味で使われます。サンプルレートは1秒間の取得回数を表し、単位はSa/sです。サンプリング周波数は周期的な取得の速さを表し、Hzで書かれることもあります。オシロスコープの仕様では、MSa/sやGSa/sという表記が一般的です。

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