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オシロスコープで回路の電圧を測定したとき、
- 計算値よりも電圧が低く表示される
- プローブを当てると波形の角が丸くなる
- 測定中だけ発振回路の動作が変わる
- 50Ω入力へ切り替えたら振幅が大きく下がる
といった経験はないでしょうか。
これらの現象は、オシロスコープの入力インピーダンスが測定対象へ与える負荷によって起きている可能性があります。
オシロスコープやプローブは、回路の状態を完全に無負荷で観察できる道具ではありません。プローブを接続した瞬間に測定系も回路の一部となり、わずかな電流が流れます。そのため、条件によっては測定前と測定中で回路の電圧や波形が変化します。
この記事では、オシロスコープの入力インピーダンスについて、次の内容を初心者向けに解説します。
- 入力抵抗と入力容量の意味
- 入力インピーダンスによって測定誤差が生じる理由
- 1MΩ入力と50Ω入力の使い分け
- ×1プローブと×10プローブの違い
- 波形への影響を小さくする方法
大学実験や電子工作で正しい波形を測定するために、ぜひ参考にしてください。
オシロスコープの入力インピーダンスとは

入力インピーダンスとは、オシロスコープの入力端子が測定対象に対して示す、交流を含めた電気的な抵抗です。単位には抵抗と同じΩ(オーム)を使用します。
理想的な電圧計の入力インピーダンスは無限大です。入力インピーダンスが無限大なら測定対象から電流を取り出さないため、回路の状態を変えずに電圧を測定できます。
しかし、実際のオシロスコープには有限の入力抵抗と入力容量があります。一般的な入力は、次のような並列回路として近似できます。
入力インピーダンス ≒ 入力抵抗 Rinと入力容量Cinの並列接続
製品仕様では、たとえば次のように表記されます。
1MΩ ±1%、約15pF
これは、入力端子が約1MΩの抵抗だけでなく、約15pFのコンデンサとしても測定対象へ接続されることを意味します。
なお、回路が実際に受ける負荷はオシロスコープ本体だけでは決まりません。通常は、使用するプローブやケーブルを含めた測定系全体の入力インピーダンスを考える必要があります。
入力抵抗と入力容量の違い
入力インピーダンスの影響を理解するには、入力抵抗と入力容量を分けて考えると分かりやすくなります。
入力抵抗は低周波・直流で影響しやすい
直流や十分に低い周波数では、入力容量へ流れる電流は小さく、主に入力抵抗が測定対象へ負荷を与えます。
測定点の出力抵抗に対してオシロスコープの入力抵抗が十分に高くないと、両者によって分圧回路が作られ、表示電圧が本来の値より低くなります。
一般的なオシロスコープの高インピーダンス入力は1MΩ程度です。×10パッシブプローブを組み合わせた場合、プローブ先端から見た入力抵抗は10MΩ程度になる製品が一般的です。
入力容量は高周波・高速エッジで影響しやすい
コンデンサのリアクタンスは、周波数が高くなるほど小さくなります。
Xc=1÷(2πfC)
- Xc:容量性リアクタンス[Ω]
- f:周波数[Hz]
- C:入力容量[F]
たとえば、入力容量を20pFとすると、容量性リアクタンスはおよそ次の値になります。
| 周波数 | 20pFの容量性リアクタンス |
|---|---|
| 1kHz | 約8.0MΩ |
| 100kHz | 約79.6kΩ |
| 1MHz | 約8.0kΩ |
| 10MHz | 約796Ω |
周波数が高くなるほど、入力容量を通じて電流が流れやすくなることが分かります。
したがって、「入力抵抗が1MΩだから回路への影響は小さい」とは限りません。高周波では入力容量の影響により、実効的な入力インピーダンスが大きく低下します。
なぜ入力インピーダンスで測定値が変わるのか

オシロスコープを接続すると、測定対象の出力インピーダンスと測定系の入力インピーダンスによって分圧回路ができます。
測定対象の電圧をVs、出力インピーダンスをZs、測定系の入力インピーダンスをZinとすると、オシロスコープで観測される電圧Vmeasは次式で表せます。
Vmeas=Vs×Zin÷(Zs+Zin)
ZinがZsより十分に大きければ、VmeasはVsに近くなります。一方、両者の差が小さいと測定系へ無視できない電流が流れ、表示電圧が本来より低下します。
つまり、入力インピーダンスの値だけを見るのではなく、測定点の出力インピーダンスとの比を確認することが重要です。
入力抵抗による測定誤差の計算例
入力容量の影響を無視できる直流または低周波で、出力抵抗100kΩの回路を1MΩ入力のオシロスコープへ直接接続する場合を考えます。
表示電圧の比率は、
Vmeas÷Vs=1MΩ÷(100kΩ+1MΩ)≒0.909
です。
したがって、表示電圧は本来の約90.9%となり、約9.1%低く表示されます。信号源の電圧が5.0Vなら、観測値は約4.55Vです。
次に、測定点から見た入力抵抗が10MΩとなる×10プローブを使用した場合を考えます。
Vmeas÷Vs=10MΩ÷(100kΩ+10MΩ)≒0.990
この場合、表示電圧は本来の約99.0%となり、誤差は約1.0%まで小さくなります。
抵抗性の負荷による電圧誤差を約1%以下に抑えたい場合、測定系の入力抵抗を測定点の出力抵抗の約100倍以上にすることが一つの目安です。
| 入力抵抗÷出力抵抗 | 表示される電圧 | 電圧低下 |
|---|---|---|
| 10倍 | 約90.9% | 約9.1% |
| 20倍 | 約95.2% | 約4.8% |
| 100倍 | 約99.0% | 約1.0% |
| 1,000倍 | 約99.9% | 約0.1% |
オシロスコープで振幅を読む基本手順は、オシロスコープで電圧・振幅を測定する方法で詳しく解説しています。
入力容量によって波形がなまる理由

高周波信号や立ち上がりの速いパルスでは、入力抵抗よりも入力容量の影響が問題になりやすくなります。
測定系の入力容量は、測定点へ並列に接続されたコンデンサとして働きます。これが測定対象の出力抵抗と組み合わさるとRCローパスフィルタが形成され、高周波成分が減衰します。
その結果、次のような現象が発生します。
- 方形波の立ち上がり・立ち下がりが遅くなる
- 波形の角が丸くなる
- 短いパルスの振幅が小さく見える
- 位相やタイミングが変化する
- プローブを当てたときだけ回路が誤動作する
RC回路として計算する例
測定点の出力抵抗を10kΩ、測定系の入力容量を20pFと仮定します。
時定数は、
τ=RC=10kΩ×20pF=200ns
です。
このRC回路のカットオフ周波数は、
fc=1÷(2πRC)≒796kHz
となります。
また、一次RC回路によって追加される10~90%立ち上がり時間は、およそ次のように見積もれます。
tr≒2.2RC=440ns
測定したい方形波の基本周波数が796kHzより低くても、エッジには基本周波数より高い周波数成分が含まれます。そのため、入力容量によって波形の角が丸くなる可能性があります。
高インピーダンスのセンサ出力、発振回路、フィードバック回路、高速デジタル信号などでは、数pFの入力容量の違いでも測定結果が変化することがあります。
なお、入力容量による負荷とオシロスコープ本体の帯域不足は、どちらも「振幅が下がる」「エッジが遅くなる」という似た症状を示します。本体側の周波数特性については、オシロスコープの帯域幅とは?測定できる周波数との関係もあわせて確認してください。
1MΩ入力と50Ω入力の違い

オシロスコープによっては、入力インピーダンスを1MΩと50Ωから選択できます。両者は単純な性能の優劣ではなく、使用目的が異なります。
| 項目 | 1MΩ入力 | 50Ω入力 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 一般的な回路の電圧測定 | 50Ω高周波・高速信号の終端測定 |
| 主な接続方法 | パッシブプローブ | 50Ω同軸ケーブルで直結 |
| 測定対象への抵抗負荷 | 小さい | 大きい |
| 伝送線路の反射対策 | 必要に応じて外部終端を使用 | 50Ω系なら入力端で整合できる |
| 最大入力電圧 | 比較的高いことが多い | 低いことが多い |
| 主な注意点 | 高周波では入力容量が影響する | 過電圧・過電力で終端回路を破損するおそれがある |
1MΩ入力を使う場面
1MΩ入力は、マイコン回路、アナログ回路、センサ出力、電源回路などをパッシブプローブで測定するときに使用します。
一般的な×10パッシブプローブは、オシロスコープの1MΩ入力との組み合わせを前提として補償されています。そのため、対応していない50Ω入力へ接続すると、正しい減衰比や周波数特性が得られない場合があります。
大学実験や通常の電子工作では、まず1MΩ入力+×10プローブを基本設定として考えるとよいでしょう。
50Ω入力を使う場面
50Ω入力は、50Ω出力の信号発生器や高周波回路から、50Ω同軸ケーブルで信号を直接入力するときに使用します。
高速信号では、ケーブルを単なる導線ではなく伝送線路として考える必要があります。信号源、ケーブル、負荷を50Ωに整合させると、入力端での反射を抑えやすくなり、リンギングや二重エッジなどの波形乱れを防げます。
一方、一般的な高インピーダンス回路へ50Ω入力を接続すると、測定点へ非常に重い負荷を与えます。用途が分からない状態で、単にノイズが減りそうだからという理由で50Ω入力を選ぶのは避けましょう。
50Ω出力の信号発生器で振幅が2倍になる理由

50Ω出力の信号発生器では、画面の振幅設定が「50Ω負荷を接続したときの電圧」を基準としている場合があります。
たとえば、信号発生器を1Vppに設定した場合、内部では50Ωの出力抵抗を通して、50Ω負荷へ1Vppが加わるように約2Vppの電圧を発生させます。
この信号を1MΩ入力のオシロスコープへ接続すると、信号発生器の50Ω出力抵抗との分圧がほとんど起こりません。そのため、オシロスコープには約2Vppと表示されることがあります。
50Ω入力または適切な50Ω終端を使用すれば、信号発生器の設定値に近い約1Vppとなります。
これは故障ではなく、信号発生器の表示基準とオシロスコープの終端条件が一致していないことが原因です。
ただし、50Ω入力は内部の終端抵抗で電力を消費します。1MΩ入力より最大入力電圧や許容電力が低いことが多いため、切り替える前に必ずオシロスコープの仕様書を確認してください。
×1プローブと×10プローブの違い

切り替え式のパッシブプローブには、信号をそのまま入力する×1と、信号を10分の1へ減衰させる×10があります。
| 項目 | ×1プローブ | ×10プローブ |
|---|---|---|
| 信号の減衰 | なし | 1/10 |
| 測定点から見た入力抵抗 | 低い傾向 | 高い傾向 |
| 入力容量 | 大きい傾向 | 小さい傾向 |
| 周波数帯域 | 狭い傾向 | 広い傾向 |
| 微小信号 | 減衰しないため有利な場合がある | オシロスコープ側のノイズが目立つ場合がある |
| 主な用途 | 低周波の小振幅信号 | 一般測定、高速パルス |
通常は×10プローブがおすすめ
一般的な回路の測定では、×10プローブを最初に選ぶのがおすすめです。
×10プローブは、×1プローブと比べて測定点から見た入力抵抗が高く、入力容量が小さいため、回路へ与える負荷を抑えやすくなります。周波数帯域も広い製品が一般的です。
ただし、×10プローブは信号を10分の1へ減衰させます。数mV程度の微小信号では、オシロスコープ自身のノイズや量子化の影響が相対的に大きくなる場合があります。
その場合は必要な帯域を確認したうえで、×1プローブ、低ノイズプローブ、アクティブプローブなどを検討します。
プローブと本体の倍率設定を一致させる
プローブ本体を×10へ切り替えた場合は、オシロスコープ側のプローブ倍率も×10に設定します。
設定が一致していれば、オシロスコープが10倍に換算し、画面には測定点の実際の電圧が表示されます。
プローブ本体が×10、オシロスコープ側が×1のままだと、表示電圧は実際の10分の1になります。反対の設定では、実際の10倍として表示されるため注意してください。
×10プローブは使用前に補正する
一般的な×10パッシブプローブは、使用するオシロスコープの入力容量に合わせて低周波補正を行う必要があります。
オシロスコープの校正用方形波へ接続し、次のような波形になっていないか確認します。
- 補正不足:波形の角が丸くなる
- 適正補正:上面が平らな方形波になる
- 過補正:立ち上がり直後の角が突出する
詳しい手順は、オシロスコープのプローブ補正とは?なぜ方形波で調整するのかで解説しています。
プローブ選びで確認したい項目
帯域幅だけでなく、入力抵抗、入力容量、減衰比、最大入力電圧、対応するオシロスコープ入力を確認しましょう。大学実験や一般的な電子工作では、まず付属の×10パッシブプローブを正しく補正して使用するのが基本です。
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入力インピーダンスの影響を小さくする方法
1.オシロスコープとプローブを一つの測定系として考える
測定対象が実際に見る負荷は、オシロスコープ本体だけでなく、プローブ、ケーブル、変換アダプタなどを含めたものです。
オシロスコープ本体の「1MΩ」という表示だけで判断せず、プローブ先端から見た入力抵抗と入力容量を仕様書で確認しましょう。
2.最初は1MΩ入力と×10プローブを選ぶ
一般的な回路を測定するときは、1MΩ入力と×10プローブの組み合わせから試します。
×10プローブは回路への抵抗性・容量性負荷を抑えやすく、×1プローブより広い帯域を持つ製品が一般的です。
3.出力インピーダンスの低い測定点を選ぶ
同じ信号を観測できるなら、出力インピーダンスの低いノードを選ぶ方が測定誤差を小さくできます。
たとえば、バッファ回路の前後で同じ電圧波形を観測できる場合、通常は出力インピーダンスの低いバッファ後段の方が測定しやすい場所です。
4.高速信号ではグランド接続を短くする
高速信号では、プローブの入力容量だけでなく、長いグランドリードのインダクタンスも波形を乱します。
長いグランドリードを使用すると、立ち上がり部分にリンギングやオーバーシュートが生じ、本来は存在しない振動が表示されることがあります。
スプリンググランドなどを使用し、プローブ先端とグランドで作るループ面積を小さくしましょう。
5.必要に応じてアクティブプローブを使用する
高インピーダンスかつ高速な回路では、×10パッシブプローブでも入力容量が大きすぎる場合があります。
低入力容量のアクティブプローブを使用すると、高周波における負荷をさらに小さくできます。
ただし、アクティブプローブには、価格が高い、耐圧が低い、入力ダイナミックレンジやオフセット範囲に制限があるといった注意点があります。帯域幅だけで選ばず、測定する電圧と回路条件を確認してください。
大学実験で起こりやすい症状と確認ポイント
測定した波形に違和感があるときは、症状から原因を切り分けると効率的です。
| 症状 | 考えられる原因 | 最初に確認すること |
|---|---|---|
| 電圧が計算値より低い | 入力抵抗による分圧 | 測定点の出力抵抗、入力抵抗、プローブ倍率 |
| 方形波の角が丸い | 入力容量、帯域不足、補正不足 | ×10設定、プローブ補正、帯域幅 |
| エッジに振動が出る | 長いグランドリード、反射、過補正 | グランド接続、終端条件、補正状態 |
| 50Ω入力で振幅が大きく下がる | 回路に対する50Ω負荷 | 信号源の出力条件、終端設定 |
| 表示電圧が10倍・10分の1になる | 倍率設定の不一致 | プローブ本体とオシロスコープ側の倍率 |
| 時間軸を変えると周波数が変わる | サンプリング不足、エイリアシング | 実サンプリングレート、レコード長 |
最後の症状は、入力インピーダンスではなく、デジタル化の条件が原因である可能性があります。
オシロスコープのサンプリングレートとは?と、エイリアシングとは?オシロスコープに偽の波形が映る原因もあわせて確認してください。
入力インピーダンスの選び方
測定条件に応じた基本的な選び方は、次のとおりです。
- 一般的な電子回路をプローブで測るなら、1MΩ入力+×10プローブ
- 50Ω信号源から同軸ケーブルで直結するなら、50Ω入力または適切な50Ω終端
- 測定点の出力抵抗が高いなら、より高抵抗・低容量のプローブ
- 高速な立ち上がりを測るなら、入力容量とグランド接続を重視
- 50Ω入力を使う前に、最大入力電圧と許容電力を確認
プローブを選ぶときは、帯域幅だけでなく、入力抵抗、入力容量、減衰比、最大入力電圧、オシロスコープとの適合性をまとめて比較することが重要です。
迷ったときの最短チェック
大学実験で設定に迷ったら、まず次の3点を確認してください。
- オシロスコープの入力を1MΩにする
- プローブ本体とオシロスコープ側の倍率を両方×10にする
- プローブ補正を確認してから測定点へ接続する
それでも波形が崩れる場合は、測定点の出力抵抗、プローブの入力容量、オシロスコープとプローブの帯域幅、グランドリードの長さを順番に確認しましょう。
よくある質問
オシロスコープの入力インピーダンスは高いほどよいですか?
一般的な電圧測定では、入力インピーダンスが高いほど回路から流れ出す電流が少なくなり、測定対象への負荷を小さくできます。
ただし、高周波では入力抵抗だけでなく入力容量も重要です。また、50Ω伝送系では、信号の反射を抑えるためにあえて50Ω入力へ整合させる場合があります。
入力抵抗が1MΩなら回路への影響は無視できますか?
必ずしも無視できません。
測定点の出力抵抗が100kΩなら、1MΩ入力を接続することで、抵抗成分だけでも表示電圧が約9.1%低下します。さらに、高周波では入力容量による負荷も加わります。
1MΩ入力と50Ω入力はどちらを選べばよいですか?
パッシブプローブで一般的な回路を測定するなら1MΩ入力が基本です。
50Ω出力の信号発生器や高周波回路から、50Ω同軸ケーブルで信号を直接受ける場合は50Ω入力または適切な外部終端を使用します。信号源、ケーブル、プローブ、オシロスコープの仕様で指定された終端条件を優先してください。
×10プローブを使うと入力インピーダンスはどうなりますか?
一般的な1MΩ入力対応の×10パッシブプローブでは、測定点から見た入力抵抗は10MΩ程度になります。
入力容量も×1接続より小さくなるため、測定対象への負荷を軽減できます。ただし、正確な入力抵抗と入力容量は製品によって異なるため、仕様書を確認してください。
×10プローブにすると表示電圧が小さくなりませんか?
×10プローブは、信号を10分の1へ減衰させてオシロスコープへ入力します。
オシロスコープ側の倍率も×10に設定すれば減衰分が自動的に換算され、画面には測定点の実際の電圧が表示されます。プローブ本体とオシロスコープ側の設定が一致しているか確認してください。
50Ω入力へ高い電圧を加えても大丈夫ですか?
危険です。
50Ω入力は最大入力電圧や許容電力が低く設定されていることが多く、過大な電圧を加えると内部の終端抵抗や入力回路を破損するおそれがあります。接続前に、使用するオシロスコープの定格を必ず確認してください。
入力容量による波形のなまりと帯域不足はどう見分けますか?
どちらも振幅低下やエッジの鈍化を起こすため、画面だけで完全に区別するのは難しい場合があります。
入力容量を変えられる別のプローブへ交換する、×1と×10を比較する、低インピーダンスの測定点へ移す、プローブと本体の帯域幅を確認するといった方法で切り分けます。
まとめ
オシロスコープの入力インピーダンスは、測定対象から見た測定系の負荷を表します。
オシロスコープやプローブを回路へ接続すると、入力抵抗による分圧や入力容量による高周波成分の減衰が生じる可能性があります。その結果、表示電圧が低下したり、方形波の立ち上がりが遅くなったりして、本来とは異なる波形を観測することがあります。
重要なポイントは次のとおりです。
- 直流・低周波では主に入力抵抗の影響を受ける
- 高周波・高速エッジでは入力容量の影響が大きくなる
- 一般回路の測定は「1MΩ入力+×10プローブ」が基本
- 50Ω入力は50Ω伝送系を終端するときに使用する
- 測定誤差は測定点の出力インピーダンスとの関係で決まる
- プローブとオシロスコープ側の倍率設定を一致させる
- 高速信号ではグランド接続を短くする
- 50Ω入力を使用する前に最大入力電圧と許容電力を確認する
正しい波形を測定するには、オシロスコープの帯域幅やサンプリングレートだけでなく、入力インピーダンスとプローブの負荷効果まで含めて測定系を考える必要があります。
大学実験や一般的な電子工作では、まず1MΩ入力と×10プローブを使用し、プローブ補正を行ってから測定を始めましょう。
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