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オシロスコープは、電圧の時間変化を波形として表示できる測定器です。
大学実験や電子工作では、オシロスコープを使って、
「この信号の周波数はいくつか」
「周期はどのくらいか」
「発振回路が正しい周波数で動いているか」
を確認することがあります。
しかし、初めてオシロスコープを使う人にとっては、
「画面の波形から周波数をどう求めるの?」
「TIME/DIVってどう読むの?」
「周期と周波数の関係がよくわからない」
と感じることも多いと思います。
この記事では、オシロスコープで周波数を測定する方法を、周期の読み取り方から初心者向けにわかりやすく解説します。
周波数とは
周波数とは、1秒間に波が何回繰り返されるかを表す量です。
単位はHz、ヘルツです。
たとえば、1秒間に波形が1000回繰り返される信号は、周波数が1000Hzです。
1000Hzは、1kHzとも表します。
周波数は、音、交流信号、クロック信号、PWM信号、発振回路など、さまざまな場面で使われます。
大学実験では、発振回路、RC回路、交流回路、デジタル回路の測定でよく登場します。
周期とは
周期とは、波形が1回繰り返されるのにかかる時間のことです。
単位は、秒、ミリ秒、マイクロ秒などで表します。
たとえば、同じ形の波が1msごとに繰り返されている場合、周期は1msです。
オシロスコープでは、画面の横軸が時間を表しています。
そのため、波形の1周期が横方向に何目盛り分あるかを読み取ることで、周期を求めることができます。
周波数と周期の関係
周波数と周期には、次の関係があります。
周波数 f = 1 / 周期 T
ここで、
f:周波数[Hz]
T:周期[s]
です。
たとえば、周期が1msの場合を考えます。
1msは0.001秒なので、
f = 1 / 0.001 = 1000Hz
となります。
つまり、周期が1msの信号の周波数は1kHzです。
周期が短いほど周波数は高くなり、周期が長いほど周波数は低くなります。
オシロスコープで周波数を測定する基本手順
オシロスコープで周波数を測定する基本的な流れは、次の通りです。
1. 波形を安定して表示する
2. 1周期分の横幅を読む
3. TIME/DIVを確認する
4. 周期Tを計算する
5. f = 1 / T で周波数を求める
最近のデジタルオシロスコープでは、自動測定機能で周波数を表示できる場合もあります。
ただし、大学実験では手計算で求める場面も多いため、周期から計算する方法を理解しておくことが大切です。
手順1:波形を安定して表示する
まず、オシロスコープの画面に波形を安定して表示します。
波形が横に流れている状態では、周期を正しく読み取ることができません。
波形が流れる場合は、トリガ設定を確認します。
トリガソースを確認する
CH1で測定している場合は、トリガソースもCH1にします。
CH1に信号を入力しているのに、トリガソースがCH2になっていると、波形が安定しないことがあります。
トリガレベルを調整する
トリガレベルは、波形の中央付近に設定すると安定しやすいです。
正弦波なら波形の中心付近、方形波ならHighレベルとLowレベルの中間付近に設定します。
スロープを確認する
スロープは、信号がトリガレベルを通過する向きを指定する設定です。
迷った場合は、まず立ち上がりに設定しておくとよいです。
トリガについては、別記事「オシロスコープのトリガとは?波形が流れる原因と対処法」でも詳しく解説しています。
手順2:TIME/DIVを調整する

次に、横軸の時間設定であるTIME/DIVを調整します。
TIME/DIVとは、画面の横方向1目盛りあたりの時間を表す設定です。
たとえば、TIME/DIVが1ms/divの場合、横方向の1目盛りが1msを表します。
周波数を測定するときは、画面に1〜3周期程度が表示されるように調整すると読み取りやすいです。
波形が詰まりすぎている場合
波形が横方向に詰まりすぎている場合は、TIME/DIVを小さくします。
すると、時間軸が拡大され、波形の1周期を読み取りやすくなります。
1周期が画面に収まらない場合
波形が広がりすぎて1周期が画面に収まらない場合は、TIME/DIVを大きくします。
すると、より長い時間範囲が画面に表示されます。
手順3:1周期分の横幅を読む
波形が安定したら、1周期分の横幅を読み取ります。
正弦波の場合
正弦波であれば、山から次の山まで、または谷から次の谷までが1周期です。
また、0Vを上向きに通過する点から、次に0Vを上向きに通過する点までを1周期として読むこともできます。
方形波の場合
方形波であれば、立ち上がりから次の立ち上がりまで、または立ち下がりから次の立ち下がりまでが1周期です。
立ち上がりから立ち下がりまでを1周期と間違えないように注意しましょう。
読み取り例
たとえば、波形の山から次の山までが横方向に4目盛り分あったとします。
この場合、1周期は4divです。
ここでTIME/DIVが0.5ms/divであれば、
周期 T = 4div × 0.5ms/div = 2ms
となります。
手順4:周期から周波数を計算する
周期が求まったら、周波数を計算します。
周波数は、
f = 1 / T
で求められます。
先ほどの例では、周期Tが2msでした。
2msは0.002秒なので、
f = 1 / 0.002 = 500Hz
となります。
つまり、この信号の周波数は500Hzです。
計算するときは、msやμsを秒に直してから計算するのがポイントです。
周期と周波数の計算例

ここでは、よくある例をいくつか紹介します。
例1:周期が1msの場合
周期が1msの信号を考えます。
1msは0.001秒です。
f = 1 / 0.001 = 1000Hz
したがって、周波数は1kHzです。
例2:周期が20msの場合
周期が20msの信号を考えます。
20msは0.020秒です。
f = 1 / 0.020 = 50Hz
したがって、周波数は50Hzです。
日本の商用電源周波数の一部地域では50Hzが使われています。
ただし、家庭用コンセントのAC100Vを一般的なオシロスコープで直接測定するのは危険なので、初心者は絶対に直接測定しないようにしましょう。
例3:周期が10μsの場合
周期が10μsの信号を考えます。
10μsは0.000010秒です。
f = 1 / 0.000010 = 100000Hz
したがって、周波数は100kHzです。
μsを秒に直すときは、桁を間違えやすいので注意しましょう。
TIME/DIVから周期を読む具体例
ここでは、オシロスコープ画面から周期を読む具体例を考えます。
1周期が5目盛りの場合
画面上で、波形の1周期が横方向に5目盛り分あったとします。
TIME/DIVは200μs/divです。
この場合、周期は次のように求めます。
T = 5div × 200μs/div
T = 1000μs
T = 1ms
周期が1msなので、周波数は、
f = 1 / 0.001 = 1000Hz
となります。
したがって、この信号の周波数は1kHzです。
このように、オシロスコープでは横方向の目盛り数とTIME/DIVを使って周期を求めます。
カーソル機能を使って測定する方法
デジタルオシロスコープには、カーソル機能がついていることがあります。
カーソル機能を使うと、波形上の2点間の時間差を画面上で読み取ることができます。
カーソルを合わせる位置
周波数を測定する場合は、1周期分の間隔にカーソルを合わせます。
正弦波なら、山と次の山にカーソルを合わせます。
方形波なら、立ち上がりと次の立ち上がりにカーソルを合わせます。
このとき表示される時間差が周期Tです。
その周期を使って、
f = 1 / T
で周波数を求めます。
カーソル機能のメリット
カーソル機能を使うと、目盛りを目で読むよりも正確に測定しやすくなります。
大学実験でレポートを書く場合も、カーソル機能で周期を読み取ると説明しやすいです。

自動測定機能を使う方法
最近のデジタルオシロスコープには、自動測定機能がついているものが多いです。
自動測定機能を使うと、画面上に周波数や周期、振幅、最大値、最小値などを表示できます。
周波数を表示する方法
周波数を表示したい場合は、測定項目からFrequencyやFreqを選びます。
周期を表示したい場合は、Periodを選びます。
機種によって表示名は異なりますが、多くのデジタルオシロスコープでは測定メニューから選択できます。
自動測定機能の注意点
自動測定機能はとても便利ですが、注意点もあります。
波形が不安定だったり、ノイズが多かったり、トリガがうまくかかっていなかったりすると、表示される値が安定しないことがあります。
そのため、自動測定値だけを信じるのではなく、画面上の波形と周期も確認することが大切です。
波形ごとの周波数測定のポイント
測定する波形によって、周期を読み取る位置が少し変わります。
ここでは、代表的な波形ごとにポイントを整理します。
正弦波の周波数を測定する場合
正弦波の周波数を測定する場合は、山から次の山まで、または谷から次の谷までを1周期として読み取ります。
正弦波はなめらかな波形なので、ピークの位置を読むときに少し誤差が出ることがあります。
カーソルを使う場合は、同じ位相の位置を選ぶことが大切です。
たとえば、
- 山から次の山
- 谷から次の谷
- 0Vを上向きに通過する点から次の同じ点
のように、同じ条件の点を選びます。
正弦波の場合、トリガレベルを0V付近や波形の中央付近に設定すると安定しやすいです。

方形波の周波数を測定する場合
方形波の場合は、立ち上がりから次の立ち上がりまでを1周期として読み取るとわかりやすいです。
方形波は立ち上がりや立ち下がりがはっきりしているため、周期を読み取りやすい波形です。
ただし、プローブ補正が合っていないと、立ち上がり部分が丸くなったり、角が飛び出したりすることがあります。
そのため、方形波を測定する前には、プローブ補正を確認しておくと安心です。
プローブ補正については、別記事「オシロスコープのプローブ補正とは?なぜ方形波で調整するのか」でも解説しています。
PWM信号の周波数を測定する場合
PWM信号とは、HighとLowを繰り返す信号です。
モーター制御、LEDの明るさ制御、マイコンの出力制御などに使われます。
PWM信号でも、立ち上がりから次の立ち上がりまでが1周期です。
PWM信号では、周波数だけでなく、デューティ比も重要です。
デューティ比とは、1周期の中でHighになっている時間の割合です。
たとえば、周期が1msで、Highの時間が0.5msなら、デューティ比は50%です。
周波数を測定するときは、まず周期を読み取り、そこから周波数を求めます。
その後、必要に応じてHigh時間を読み取ってデューティ比を求めます。
周波数測定でよくあるミス
オシロスコープで周波数を測定するときには、いくつか注意点があります。
msやμsを秒に直し忘れる
一番多いミスは、周期の単位を秒に直さずに計算してしまうことです。
周波数を求める式は、
f = 1 / T
ですが、このときTは秒で入れる必要があります。
たとえば、周期が2msなら、
2ms = 0.002s
として計算します。
2のまま計算すると、まったく違う値になります。
1周期ではなく半周期を読んでしまう
正弦波や方形波では、1周期の範囲を間違えることがあります。
正弦波の場合、山から谷までは半周期です。
山から次の山までが1周期です。
方形波の場合、立ち上がりから立ち下がりまでを1周期と間違えることがありますが、これは通常半周期です。
立ち上がりから次の立ち上がりまでを1周期として読み取りましょう。

TIME/DIVの設定を読み間違える
TIME/DIVの単位を間違えると、周期も周波数も大きくずれます。
たとえば、200μs/divと200ms/divでは、1000倍も違います。
オシロスコープの画面や設定欄をよく確認し、単位まで正しく読むことが大切です。
波形が流れたまま測定してしまう
波形が横に流れている状態では、周期を正しく読み取れません。
この場合は、周波数を測定する前にトリガ設定を直します。
トリガが安定していないと、自動測定値もふらつくことがあります。
波形が流れる場合は、まずトリガ設定を確認しましょう。
ノイズを周期として読んでしまう
ノイズが多い波形では、本来の周期ではなく、細かいノイズの変化を読んでしまうことがあります。
この場合、表示される周波数が不安定になったり、実際より高い周波数として表示されたりすることがあります。
ノイズが多い場合は、
- トリガレベルを調整する
- プローブのGNDを短くする
- 測定点を確認する
- 必要に応じて帯域制限を使う
- 平均化機能を使う
などの対策を考えます。
AC結合とDC結合の設定を間違える
周波数測定では、AC結合とDC結合の設定も確認しておくと安心です。
基本的に、信号全体の電圧レベルを確認したい場合はDC結合を使います。
一方、直流成分の上に乗った小さな交流成分だけを見たい場合はAC結合が便利です。
ただし、低周波信号をAC結合で測定すると、波形が正しく表示されない場合があります。
AC結合とDC結合については、別記事「オシロスコープのAC結合とDC結合の違いをわかりやすく解説」でも詳しく説明しています。
大学実験レポートでの書き方例
大学実験のレポートでは、単に「周波数は1kHzだった」と書くだけでなく、どのように求めたかを書くとわかりやすくなります。
レポート記述例
オシロスコープで出力波形を観察したところ、1周期の横幅は5divであった。
このときTIME/DIVは200μs/divであったため、周期Tは
T = 5 × 200μs = 1000μs = 1ms
となる。したがって、周波数fは
f = 1 / T = 1 / 0.001 = 1000Hz
より、1kHzである。
このように、目盛り数、TIME/DIV、周期、周波数の順番で書くと、計算過程が伝わりやすくなります。
考察で書くとよいポイント
レポートの考察では、測定値と理論値を比較するとよいです。
たとえば、理論値が1kHzで、測定値が0.98kHzだった場合、誤差は小さいと考えられます。
一方で、大きくずれている場合は、
- TIME/DIVの読み取り誤差
- トリガ設定の不安定さ
- ノイズの影響
- 回路定数の誤差
- 信号源の設定誤差
などを考察できます。
初心者におすすめのオシロスコープ関連アイテム
オシロスコープで周波数を測定する場合、本体だけでなく、信号を発生させる機器や測定用のケーブルもあると便利です。
電子工作や大学実験の復習では、以下のようなものがあると学習しやすくなります。
- 入門用デジタルオシロスコープ
- 10:1オシロスコーププローブ
- 信号発生器
- BNCケーブル
- ブレッドボード
- ジャンパ線
- ワニ口クリップ付きリード線
特に信号発生器があると、正弦波や方形波の周波数を変えながらオシロスコープで確認できるため、周波数測定の練習に向いています。
安全上の注意

オシロスコープを使うときは、安全にも注意が必要です。
特に、家庭用コンセントのAC100Vや商用電源を一般的なオシロスコープで直接測定するのは危険です。
接続方法を間違えると、ショート、感電、測定器の故障につながるおそれがあります。
大学実験や電子工作では、まず低電圧の回路から測定しましょう。
商用電源や高電圧回路を測定する場合は、必ず指導者の指示に従い、必要に応じて差動プローブや絶縁された測定環境を使用してください。
まとめ
オシロスコープで周波数を測定するには、まず波形の周期を読み取ります。
周期とは、波形が1回繰り返されるのにかかる時間です。
周波数と周期には、
f = 1 / T
という関係があります。
オシロスコープで周波数を測定する基本手順は、次の通りです。
1. 波形を安定して表示する
2. TIME/DIVを確認する
3. 1周期分の横幅を読む
4. 周期Tを計算する
5. f = 1 / T で周波数を求める
正弦波では山から次の山まで、方形波では立ち上がりから次の立ち上がりまでを1周期として読むとわかりやすいです。
また、デジタルオシロスコープではカーソル機能や自動測定機能を使うことで、より簡単に周期や周波数を確認できます。
ただし、自動測定値だけに頼るのではなく、波形が安定しているか、TIME/DIVの単位が正しいか、1周期を正しく読めているかを確認することが大切です。
大学実験で周波数を測定するときは、測定値だけでなく、周期の読み取り方や計算過程もレポートに書けるようにしておきましょう。


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